Steam Deckといえば、ハンドヘルドPC界の絶対王者! でも、どうやら市場全体は思ったほど伸びていないみたいです。

2023年には約290万台売れたものの、2024年には半減。市場規模はまだまだ小さく、ゲーム用PCやコンソールには到底及びません。

それでもSteam Deckは依然としてトップを独走中。でもこのままじゃ「一人勝ちのまま市場が消える」なんてことにもなりかねない? ハンドヘルドPCの未来、ちょっと気になりませんか?

Steam Deckの圧倒的存在感! でも市場はシュリンク?

Steam Deckが発売されて以来、ハンドヘルドPC市場は一気に注目を浴びました。PCゲーマーにとって、手軽にどこでもプレイできる夢のようなデバイス。特にSteam Deckは他のライバル機を寄せ付けず、堂々のトップを走っています。

2022年のハンドヘルドPC市場は約162万台の販売でしたが、2023年には約286万台まで急成長。しかし、2024年には148万台と半減してしまいました。勢いが続くかと思いきや、まさかの失速。とはいえ、その中でもSteam Deckは圧倒的な存在感を誇っています。

実際、2022年の市場シェアはSteam Deckが100%。2023年も半数以上がSteam Deckで、2024年は市場全体の48%を占めています。つまり、ハンドヘルドPCを買う人のほとんどがSteam Deckを選んでいるのです。Valveのブランド力と独自チップの強みが大きく影響しているのでしょう。

しかし、そもそもハンドヘルドPCの市場規模自体が、コンソールやゲーミングPCと比べて小さいのが現実です。毎年数千万台売れるPS5やSwitch、そしてゲーミングPCのパーツ市場と比べると、まだまだニッチな存在。Steam Deckが好調とはいえ、市場全体が縮小しているのは気になるところです。

この流れが続けば、Steam Deckの「一強時代」はしばらく続きそう。でも、市場自体が縮小してしまえば、「王者だけど戦う相手がいない…」なんてことになりかねません。この状況、果たしてどうなるのでしょうか?

ハンドヘルドPC、なぜ人気が伸び悩むのか?

Steam Deckを筆頭に、Asus ROG Ally、Lenovo Legion Go、MSI Clawなど、ハンドヘルドPCは増えてきました。でも、なぜ市場は成長し続けていないのでしょうか?

まず、大きな理由のひとつは「中途半端なポジション」。ゲーミングPCとしては性能が限られ、コンソールほどシンプルでもない。値段も安くはなく、高性能モデルになればゲーミングノートPCと大差ない価格になってしまいます。「それなら普通のPCを買うよ」となるのも無理はありません。

もうひとつの問題は「最適化」。Switchのように、ハードウェアに最適化されたゲームがあるわけではなく、PC向けゲームを動かすだけ。結果として、バッテリー持ちは短く、快適に遊べるタイトルも限られます。外で遊ぶには不安が多く、結局「家でやればいいや」となってしまうのです。

そして、もうひとつは「競争相手の強さ」。PS5やXbox、Switchはもちろん、ゲーミングノートPCもどんどん進化しています。特にNintendo Switchは、累計1.5億台以上売れており、年間2000万台ペース。Steam Deckの累計400万台とは桁違いです。

市場が伸び悩む理由は、単純に「需要がない」のではなく、「もっと便利な選択肢がある」から。ハンドヘルドPCは独自の魅力を持っていますが、それだけで爆発的に売れるほど甘い世界ではないようです。

今後の展開は? 成長のカギを握るポイントとは

では、ハンドヘルドPC市場が今後成長するためには、何が必要なのでしょうか?

まず、重要なのは「専用設計のチップ」。Steam Deckが市場の半数以上を占めているのは、ValveがAMDと共同開発した「Aerith」「Sephiroth」という専用プロセッサを搭載しているから。これに対し、他の機種は汎用APUを使っているため、性能や電力効率の面で劣ってしまいます。

また、「価格と性能のバランス」も大事。現在のハンドヘルドPCは価格が高めで、エントリーモデルでも10万円前後。これがもう少し手頃になれば、Switchユーザーやカジュアルゲーマー層にも手が届くかもしれません。

さらに、「バッテリー問題の解決」も必須です。現状、2~3時間しか持たないモデルがほとんど。外出先でのゲーム体験を売りにするなら、最低でも5~6時間は持ってほしいところです。バッテリー性能の向上や、消費電力を抑える工夫が求められます。

とはいえ、2025年の市場予測は約192万台と、2024年よりは回復の見込み。これがSteam Deckの新型登場によるものなのか、他のメーカーの巻き返しなのかはまだ不明ですが、ハンドヘルドPCが完全に消えることはなさそうです。

今後のカギを握るのは、「本当にこの市場を伸ばしたい」と思っている企業がどれだけ本気を出すか。Steam Deckだけが頼みの綱では、長期的な成長は難しいかもしれません。果たして、新たなライバルが登場し、この市場を盛り上げることができるのか? これからの動きに注目です。

Source:PCGAMER