AMDが2024年7月にひっそりと発表した「Ryzen AI 9 HX PRO 375」。でも、そのスペックを見れば静かにしていられないはず!
12コアのCPUに加え、高性能なRadeon 890M GPU、さらにはAI処理用のXDNA 2 NPUまで搭載。ノートPC向けとしてはなかなかのモンスタースペックです。
果たしてこの新型APU、ゲーマーやクリエイターの期待に応えられるのか?ライバルと比較しながら、実力をチェックしていきましょう!
「静かにデビュー?でもスペックは派手!」Ryzen AI 9 HX PRO 375の基本情報

2024年7月、AMDがこっそり発表した「Ryzen AI 9 HX PRO 375」。静かに登場したものの、その中身はかなりパワフルな仕様になっています。ノートPC向けのAPUながら、12コアCPU、強力な統合GPU、そしてAI処理に特化したNPUまで搭載。性能面ではなかなかの注目株です。
CPUは最新の「Zen 5」アーキテクチャを採用し、最大5.1GHzで動作。4つの高性能コアと8つの省電力コアを組み合わせた構成になっていて、ゲームからクリエイティブ作業まで幅広く対応できます。一方で、省電力コアの最大クロックは3.3GHzと控えめですが、そのぶん電力効率は向上しているとのことです。
GPUは「Radeon 890M」を統合しており、16基の演算ユニット(CU)を搭載。これにより、RTX 2050 Laptopに匹敵するグラフィック性能を発揮するとのこと。軽めのゲームなら余裕でこなし、設定を調整すればAAAタイトルの1080pプレイも可能です。
さらに、このAPUの目玉ともいえるのが「XDNA 2 NPU」。これはAI関連の処理を専門にこなす専用エンジンで、55TOPS(毎秒55兆回の計算能力)という高性能を誇ります。これにより、画像編集や動画処理、AIアシスト機能がよりスムーズに動作することが期待されます。
接続面でも優秀で、USB4に対応しているため、Thunderbolt機器との互換性も確保。さらに、PCIe 4.0やLPDDR5x-7500メモリにも対応しており、次世代ノートPCにふさわしい高速通信が可能です。ただし、TDP(消費電力)は最低28W、最大54Wと少々高めなので、バッテリー持ちよりもパフォーマンスを重視した設計といえそうですね。
AMDはこのモデルを特に大々的に宣伝していませんが、スペックを見れば静かにしている場合ではありません。最新の技術をしっかり詰め込んだ、この「静かなる実力派」。今後のノートPC市場でどんな活躍を見せるのか、注目していきたいですね。
「AIもゲームもこなせる?」CPU・GPU・NPUの実力をチェック
Ryzen AI 9 HX PRO 375は、CPU、GPU、NPU(AIエンジン)の3つの柱で構成されています。それぞれどの程度のパフォーマンスを発揮するのか、詳しく見ていきましょう。
まずはCPUから。12コア構成で、うち4つは高性能なZen 5コア、8つは省電力なZen 5cコアになっています。シングルスレッド性能は前世代のZen 4から約16%向上しており、動画編集や3Dレンダリングなどの重い作業にも対応できます。一方、マルチスレッド性能はインテルのCore i5-13500HXやRyzen 7 7745HXと同等とされており、超ハイエンドとはいかないまでも、十分にパワフルです。
続いてGPUですが、これがなかなかの実力派。「Radeon 890M」は16基のRDNA 3.5演算ユニットを搭載し、クロックは最大2.9GHz。ベンチマークの結果次第ではありますが、GTX 1650 Laptopと同等、あるいはそれ以上のパフォーマンスが期待できます。軽量なゲームなら快適に動作し、設定次第では最新タイトルも遊べるでしょう。ただし、レイトレーシング性能には期待しすぎない方がよさそうです。
そして今回の目玉、NPU(XDNA 2)。これはAI関連の処理を専門に担当するユニットで、55TOPSの処理能力を誇ります。具体的には、ノイズキャンセリング、画像処理の自動補正、リアルタイム翻訳などのAI機能をより高速かつ省電力で動作させる役割を持っています。最近のノートPCはAI機能を強化する傾向があるため、このNPUの搭載は大きなメリットになりそうですね。
こうしてみると、Ryzen AI 9 HX PRO 375はバランスの取れた性能を持ち、ゲーマーからクリエイター、さらにはAI機能を活用するユーザーまで幅広く対応できるモデルといえそうです。とはいえ、超ハイエンドなパフォーマンスを求める人には少し物足りないかもしれません。あなたの使い方に合うかどうか、しっかりチェックしてみましょう。
「買い?待ち?」競合モデルとの比較とおすすめポイント
Ryzen AI 9 HX PRO 375が気になるけど、「これって本当に買いなの?」と迷っている人も多いはず。そこで、競合モデルと比較しつつ、おすすめポイントをチェックしてみましょう。
まずライバルになりそうなのが、インテルの「Core i5-13500HX」。こちらも12コア構成ですが、パフォーマンスコアと効率コアの組み合わせは異なります。シングルスレッド性能ではRyzen AI 9 HX PRO 375がやや優勢ですが、マルチスレッド性能はほぼ互角。消費電力はどちらも高めなので、バッテリー駆動時間を重視するならどちらも一長一短です。
次に、AMDの自社モデル「Ryzen AI 9 HX 370」。実はHX PRO 375とほぼ同じスペックですが、PRO版の方が「AMD Secure Processor」などの追加機能があるため、セキュリティ面ではこちらに軍配が上がります。ただし、一般ユーザーにはそれほど大きな違いとはならないかもしれません。
それでは、「買い」かどうかの結論です。
・ゲーミングノートPCを探している → 軽いゲームならOK、でも本格派ゲーマーならRTX搭載機の方が無難
・AI機能を活用したい → NPU搭載でAI機能が強化されているのでアリ
・パワフルなノートPCが欲しい → Core i7以上のインテル機と比較するとコスパは良い
総合的に見て、Ryzen AI 9 HX PRO 375はバランス型のAPU。最新機能を備えたノートPCを探しているなら「買い」ですが、ゲーミング特化や超高性能を求めるなら、もう少し様子を見るのもアリかもしれませんね。
Source:NOTEBOOKCHECK